【書籍】「灘→東大理IIIの3兄弟を育てた母の秀才の育て方」を読んでみた
公開日: 最終更新日:2017-07-14
1年ちょっと前だったかな、3兄弟を最難関大学に入れたゴッドマザーとして(良い意味でも悪い意味でも?!)話題になった「佐藤ママ」の書籍を最近になって読みました。
「18歳までは全て親の責任」「受験に恋愛は無駄」という発言がネット上で「過干渉過ぎる」と批判を浴びていたのを覚えています。私も「自分の子育てスタイルとは絶対合わないから無縁の本だろう」と思っていました。
読もうと思った理由
息子は「過保護すぎるぐらいがちょうど良いタイプ」かも…と思い、この本を思い出した。
「幼児期から大学受験まで完全に二人三脚のお母さん」と聞いただけで「あー、私には無理なヤツ!」と感じ、「佐藤ママの教育方針」にあまり良い印象はありませんでした。でも最近、息子を育てながら「この子にはもっと親が手をかけてあげた方が良いのかも…」と思うようになり、「親がしっかり手をかけたパターン」の書籍を思い出しました。
「家で何も教えてないけど保育園で覚えてきた」なんて言葉もよく聞きます。でも「自主性に任せて放任気味でも大丈夫な子」もいれば「手取り足取り教えてあげた方が伸びる子」もいるのでしょう。息子は興味に偏りがあるタイプで、好きなことは集中して続けるけど興味が無いことはやりたがりません。保育園での様子を先生に聞いたり参観してみて、この子は私が手を握りながら鉛筆を持たせて絵を描いたり、手を添えて一緒に折り紙を追ってあげた方が良いのかも…と感じるようになりました。
とはいえ、私は仕事もしている、主人は単身赴任で家事も育児もワンオペ状態。とても子育てに全身全霊を捧げられる状態ではありません。それでももうちょっと「親としての覚悟」を持つために、「4人の子育てと教育に全力で取り組んだお母さんの話」を読んでみようと思いました。
自分とは真逆なゴッドマザーの本を読んで覚悟を決めようと思った。
というわけで恐らく他の読者の方とは動機が違うでしょうが、私は「子どもを秀才に育てるため」ではなく自分自身の覚悟のために読みました。ぶっちゃけ「怖いもの見たさ」もありました。
佐藤ママの本は何冊か出版されているけど、生活編・日常編や幼児教育のことも広く書かれている「「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方」をチョイスしました。Kindleなので図解版は読みにくいだろうと文庫版を購入、かなりお安く済みました。
読んだ感想1:読む前の印象と全然違った!!
「怖いもの見たさ」なんて言っちゃってごめんなさい、純粋に読んで良かったです。ネット上の否定的な意見の多くは、書籍を読んでいない人のコメントでしょう。(私も読むまでは良い印象を持っていなかったので同罪ですが…)
たくさんお金をかけ、試行錯誤して得たノウハウを惜しみなく披露してくれる太っ腹お母さん。
「佐藤家ではこうしました」と洗いざらい書いてくれているので、掻い摘んで「息子自慢」「金持ち自慢」「頑張った私自慢」と批判されることもあったのでしょう。
専業主婦で4人の子どもの習い事や教育にたっぷりお金を使える環境は確かに羨ましくはありますが、「子どもの教育とは文化を作ること。専業主婦の私が世の中に貢献できることといえば、文化を作る、つまり子どもの教育だから、そこにお金と労力は惜しまない」という信念を聞くと納得できます。
ただただ頑張って子育てした結果、そのノウハウを教えて欲しいという人が殺到し、本を書いて欲しいと頼まれ「少しでも読者のためになれば」と出し惜しみせず書いてくれた、サービス精神あふれるお母さんなのだと思います。
書籍でも「内容を取捨選択していただきたいと思い、なるべく多くかつ広範囲の私の考え方ややり方を紹介しています」「一人ひとりの人生はオリジナルなのに、そのまま当てはまるわけがない」とも書かれています。
「子どものレールを敷きすぎ」は的外れな批判だった
息子を3人とも「東大理III」に入れたのは親が子どものレールを敷きすぎだというレビューもいくつか見かけました。でも書籍をちゃんと読めば、息子さん達が自分で道を選んでいることは明快です。「目標設定は自分でさせる、子どもの可能性を最大限に伸ばすのがお母さんの仕事」だとはっきり書かれています。
4兄妹がバイオリンを習っている時には「この道に進みたい子がいるなら、お母さんには東京藝術大学に入れてあげる力はないからその道のプロを連れてくるよ!」とも言っていたそうです。また、弁護士のお父さんは、誰かは法学部に行って跡を継いでほしいと密かに期待もされていたようなので、「親のエゴで日本最難関に…」というのは第三者の勝手な想像だと分かりました。
「子どもが可哀想」という批判も、次男さんがFacebookで見事に払拭されています。
参考:息子3人東大 佐藤ママの次男が秀逸コメント「子供自慢行き過ぎた」
読んだ感想2:今まで読んだどの育児書よりも実践的で参考になった!
文章はとても読みやすく分かりやすくて、「ああ、このお母さんは教え方が上手なんだろうな」と納得させられます。(もちろん相当の努力をされたのでしょうが…)
私の勝手な内訳は「目からウロコだった:1割」「参考になった:3割」「共感した:2割」「うちには当てはまらないな:3割」「そんなにお金使えるかー!:1割」ぐらいでした。山盛りの内容の中で半分が役に立つのなら大収穫!!これで数百円は本当にオトクです。
目からウロコ:親ができることはしてあげる、一朝一夕では身につかないことを教える。
佐藤ママは「18歳までは子どもに関するすべてが親の仕事」と断言し、子ども4人の学校の準備も全てお母さんがしていたそうです。子どもが準備すれば忘れ物もする、忘れ物すると怒られる、だけど忘れっぽいのは性格だから簡単には解決できない、ただ嫌な気持ちになって学校の評価も下がるだけ…それならば出来るお手伝いは親がしてしまおうと。
いざ必要となれば自分で出来ることは無理にさせなくても良い、それよりも子どもの間に身に付けておいた方が良いことを教えるべきだと。「お片付け」や「お手伝い」はさせず、子どものうちに身に着けさせてあげたいことに時間を割いたそうです。教えられないとできないこと、一朝一夕では身につかないこと、「勉強(幼少期は読み書き算盤)」や「テーブルマナー」を優先したとのこと。
この時点で拒否反応を起こす方もいるでしょう。でも私にとっては目からウロコ、とても勇気づけられました。
朝のイライラが解決した!
息子は朝の登園準備をしたがらず、ベッドから起こしてトイレに連れて行くのも、パジャマから着替えさせるのも、朝食を食べさせるのもとにかく大変です。「これぐらい自分で出来るようにさせないと…」と、出来るだけ手伝わず「早くお服着替えてよー!」と何度も言い、次第に声も大きくなってイライラ…。そんなことを毎朝繰り返していたけど、「あ、手伝って良いんだ…。」と、拍子抜けしました。
それよりも「朝の基本」に書かれている「朝はニコニコ、絶対に怒らない」を実践した方が、私も息子も楽しく出発できるなぁと。私、今まで何と闘っていたのでしょう…。
共感ポイント:ジャンクフードやテレビ・ゲームは「禁止」ではなく「非日常」に。
私がすごく共感したのは「カップヌードル・ポテトチップス」や「テレビ・テレビゲーム」などとの付き合い方です。自然派育児ママだと排除してしまうアイテムですが、佐藤ママは「日常と切り離し、特別なものとして楽しむ」という、メリハリをつけた付き合い方をされています。
カップヌードルは普段は絶対に出さないけど、具合が悪い時やテスト前の夜食など「特別な日限定」で食べられるものにする。テレビやテレビゲームは普段の生活動線には置かず、2階の部屋に置いて「わざわざ見に行く」環境を作る。…などなどです。
なんでも「ダメ!禁止!」ではなく、非日常として演出するのはステキなアイデアですね。
「勉強編」はこれからも随時読み返そうと思う。
「勉強の基本」や「幼少教育」は今まさに知りたい内容だったので熟読したけど、学校のテストや受験勉強については今回はサラーッと読み流しました。根性論ではなく具体的・実践的で取り入れられそうなことも多いので、都度読み返します。
最初は「子どもを有名大学に入れたくて…」なんて別次元だと思ってたのに、読み進めるうちにワクワクしている自分がいました。佐藤ママみたいに絵本1万冊を読み聞かせるのは無理でも、教科書を音読してあげるぐらいなら出来るだろう、植物図鑑を持って一緒に散歩に出かけるのも楽しそうだな…と、これからの息子とのお勉強がとても楽しみになったのです。
子育てに勇気と希望をもらえた。
言葉にするとこっ恥ずかしいけど、「子育てに勇気と希望をもらえた」のが素直な感想です。「子どもは今より小さくなることは絶対にないのだから」「『ねえ、ママ』の時期は有限なのだから」…できるだけ息子と向き合って日々大切に過ごします、自分と息子の出来る範囲で…。