産んでみたら、世間は思ってたよりずっと優しかった(滋賀だからかも)
公開日: 最終更新日:2020-10-01
夕刻6時前、学童お迎えのために自転車を走らせていると、赤ちゃんを抱っこしたお母さんがいつも道路沿いの同じ場所に立っています。
それを見て「ああ、私もやってたなぁ」と懐かしくなります。生後3〜4ヶ月ごろ、夕方になると何故か赤ちゃんが大泣きする「黄昏泣き」。抱っこして外に連れ出すと途端におとなしくなるので、この時間帯によく近所を散歩していました。
結婚を期に滋賀県に移り住んだ私は、ほとんど知り合いのいない土地で「初めての子育て」に奮闘しました。
不安いっぱいの毎日でしたが、滋賀で「赤ちゃん連れ」で嫌な思いをしたことは一度もなかったし、優しい言葉をかけてもらったり、助けてもらったことばかりが思い出されます。
「滋賀で子育て出来て良かった」と思うことが沢山あったなぁ…って振り返っていた時に「あ、私そういう記事を書きかけて下書きで放置してたよな」って思い出しました。4年間熟成させていた記事なのでコロナ禍の今とはだいぶ状況が違いますが、思いは変わらないので放出しておきます!
ネット上の「子持ちバッシング」を真に受けて、子どもを持つことが怖かった。
私は「ネット環境が無いと生きていけない!」という部類の人間で、某掲示板や某知恵袋や某小町などがあれば何日でも部屋にこもっていられます。
そこで妊娠前に目にしていた子連れに対する辛辣な意見の数々。(2012年頃に見かけた文字列なので今は違うと信じたい)
- ベビーカーで電車に乗ることが「ベビーカー問題」と言われる世の中。
- 子連れは出歩くな、子連れで飲食店なんてもってのほか。
- マタニティーマークは「妊婦様扱いしてくれ」と言う主張で目障り。
- 「好きで産んだのだから数年ぐらい我慢しろ」「子どもが可哀想」の嵐。
こういった意見の多さに、私は「子どもを持つ=世間に引け目を感じながら、邪魔にならないように生きていかなければならない」と感じるようになり、子どもを持つことが怖くなっていました。
案ずるより産むが易し?!世間はとっても優しかった。
里帰り出産を終えてからも「24時間赤ちゃんと一心同体の生活」が続きます。夫は仕事なので夜までは赤ちゃんとべったり2人きり。抱っこ紐で散歩に出たりはしますが、社会から切り離され、自分と赤子だけが違う時間軸で生きているような不思議な感覚に陥りました。
ドキドキの買物デビュー
最初のうちは夫が定時帰りの日や週末に子どもをみてもらって、ダッシュでまとめ買いをしていました。生後1ヶ月4週目の週末に、初めて夫の車で赤ちゃんを連れて、ベビーカーで近所のイオンに出かけました。
実は、同時期に出産したTwitterのママさん達(主に東京)が「買物に行ったら赤子の顔を見て舌打ちされた」「エレベーターではベビーカーをたためと言われた」などツイートしてはったので、赤ちゃん連れで買物に行くことさえビビっていたのです。
ところがイオンには赤ちゃん連れのお客さんも多くいて、(当たり前だけど)みんな普通に買物していました。休日でまあまあ人はいたけど、ベビーカーでの買物に嫌な顔をする人は1人もいませんでした。
それどころか「わーー、赤ちゃん、可愛いねぇ。何ヶ月??」と聞いてくるおばちゃんの多いこと!!中には「大変でしょう。でもね、今が一番いい時なのよ!」と励ましの言葉をかけてくれる方もいました。
エレベーターに並ぶと、若いカップルがボタンを押して開けて待っていてくれました。
初めての子連れ買物で「あれ、前情報とだいぶ違うぞ、全然大丈夫やん!」と自信をつけた私、それ以来、平日のお昼にイオンに買物に行くのが日課になりました。授乳室(体重計もある!)やオムツ替えスペースも充実していて安心でした。
1歳前の息子を抱っこして民家の敷地横に立っていた時。
生後10ヶ月ごろから、車大好きになった息子。「ブーブー」と窓の外を指差し、道路沿いに連れて行け、もっと車を見せろと、お散歩を催促するようになりました。
ある日の散歩中、息子が「どうしても見たい」とアピールする道路が、民家のすぐ横、敷地ギリギリの場所でした。そこに立って道路を見ていると、息子がハイテンションに「ブーブ!ブーブー!」とかなりのボリュームで歓喜の声を上げます。すると民家からおじさんが出てきたので「あ、怒られる」と思い「うるさくしてスミマセン!」と謝ると、「車、好きなんか?」とぶっきらぼうに聞かれ、そのまま部屋に戻られました。
急いでその場を立ち去ろうとしたら、そのおじさんがまた出てきて「これ、もう子どももおっきくなって使わへんから、よかったら」と言って、ミニカーを2つくれました。
見た目が怖そうだったので勝手に萎縮してしまったのを反省。孤独な育児中、人の優しさに救われました。
子どもセンターのお陰で育児が楽しくなった。
子どもセンターの存在は知ってたけど、利用はまだまだ先だと思っていた私。市の広報誌で0歳児親子だけが参加できる「赤ちゃんday」があることを知り、生後3ヶ月で初めて電話予約しました。
職員さんに「ふれあいあそび」を教えてもらったり、月齢の近い子同士で集まって育児の悩みなどを相談しあったり出来ました。人見知りなので最初は輪に入るのが不安だったけど、出産後めっきり無くなっていた「大人と話せる機会」がありがたかったです。
そこで出会ったママさん達が情報通で、授乳室のあるお店や子連れで行けるカフェ、赤ちゃん向けイベントの情報など、色々教えてもらえました。「欲しい情報はすべてインターネットで手に入れる」が当たり前だった私、チラシや貼り紙、口コミでしか得られない地域情報の多さに驚きました。
赤ちゃん連れの外食も普通にできた(地方だからかも)
初めて「赤ちゃん連れランチ」に誘ってもらった時、「え、本当に連れて行って良いの?!途中で泣き出したらどうすればいい?店員さんや周りのお客さんに嫌がられない??」って不安いっぱいでしたが、友達が予約してくれたカフェは広い駐車場に広い個室部屋(赤ちゃんを寝かせてOKのお座敷タイプ)、トイレには赤ちゃんチェアやオムツ替えの台もありました。
赤ちゃん連れも喜んで迎え入れてくださり、授乳も離乳食もOK、取り分け食器も貸し出します、という、なんとも驚きの「子連れウエルカム対応」!!
事前にネットで見ていた「赤ちゃん連れでカフェなんて行くな」っていう意見とは大違いの現実に驚いたけど、これは「都心」と「地方」で随分状況が違うのかもしれません。
郊外のカフェにとって子連れは「平日昼間」のアイドルタイムを埋めるお客さん
もちろん滋賀が「子連れに理解がある優しい世界」であることに間違いはないのですが、ベッドタウンとなっている郊外は日中は仕事や学校に出る人が多く、平日は「子連れママ」や「年配のお客さん」を取り込まないと経営が成り立たないのも要因の一つかと思います。
だからファミレスだけでなく、オシャレなカフェやレストラン、ラーメン屋さん、居酒屋さんまでもが「子連れ対応(子ども椅子や子ども食器)」標準装備のお店がほとんどでした。
店員さん達も周りのお客さんも子連れに慣れていて、子どもの相手をしてくれたり、本当に優しくしてもらいました。(もちろん、子連れを煩わしく感じる方もいると思います。そういう方には申し訳ないけど、子連れで行けないようなお店を選んで、棲み分けされてるのだと思います。)
子連れ外食は「アイドルタイムを埋めるつもり」で行けば嫌がられない!
ネットで調べれば「子連れ歓迎」「個室あり」などの表記はすぐに調べられますが、私はそれに加えてできるだけ
- 事前に電話予約して0歳児連れでも大丈夫か、離乳食の持ち込みOKかなどを確認する
(飛び込み入店の場合も、必ず入口で赤ちゃん連れOKか聞く) - できるだけ空いている時間帯に行く(平日ならだいたいOK、土日なら夕方5時など混雑する前)
を心がけました。
そうすれば「アイドルタイムを埋める貴重なお客さん」として扱ってもらえます。
「子どもに優しい世界」は「子どもがいるのが当たり前の世界」
滋賀は会う人みんなとにかく優しかった!
こういう話をすると言うとよく「滋賀は子育て支援が充実してるからね」って言われたけど、私の住んでいた頃は、行政の支援に関しては「市による」感じでした。
財政に余裕のある隣の市は子育て施設も支援も充実していたけど、決して余裕のない私の市は「昭和の児童館」そのままのボロボロの子どもセンター。行政からの子育て支援は決して手厚いものではなかったです。ただ、その中にいる職員さんなど「人」はみんな本当に優しくて、「寛容で温厚な県民性」が大きいのかなぁと思っています。
皆が子連れがいる世界に慣れている。
滋賀在住中は未婚の10代・20代の男の子も女の子も「ここのカフェなら赤ちゃん連れOKだから」とかサラッと教えてくれることが何度かありました。
彼らはわざわざ調べたわけではなく、普段から利用しているカフェに「子連れ客がいる」状態を見慣れているから、よく知っているのです。
「子どもに優しい世界」って「子どもがいるのが当たり前の世界」なんだなって思います。そしてそれは「子ども」に限らず、「いろんな人がいて当たり前」の、多様性を受け入れられる世界に繋がるのじゃないかな…そんなことを気づかせてくれた、滋賀で出会った優しい皆さんに感謝です!
はじめて育児 > 0歳育児・産後・授乳 タグ: 0歳, 子連れ, 滋賀