Yoshipan Blog - diary -

かえるのこはかえる

公開日: 最終更新日:2023-06-11

レモン

「ママー!耳掃除してーーー!」

小5の息子が下校するなり大声で私に言う。これは異常事態だ。

息子は大の耳掃除嫌いで、小さい頃から耳を触らせてくれない。「耳掃除はしない方が良い」という偉い人の話を信じて放置していたら、巨大耳垢で耳がふさがりそうになったこともある。それでも耳掃除をさせてくれるのはせいぜい数ヶ月に一度だ。

そんな息子が帰宅早々「耳掃除」を所望してくるからには、何かあるのだろう。

小5男子の耳に何があった?!

「どうしたの?耳に何か入った?」

「うん、ちょっと……」

口ごもる息子を膝に寝かせてスマホのライトを照らしながらのぞくと、奥の方に異物が入っている。耳かきでかき取ると、細長〜くちぎられたビニール袋の破片が出てきた。なんで?

「取れたよ」

びろ〜んと伸ばしたビニールを見せる。このボリュームがよく耳におさまったな。

「あーーー、良かったーー、助かったーーーー!!」

半泣きで安堵の声を漏らす息子。

「で、なんでこんなものが耳の中に入ってたの?」

「いや、それは、ちょっと……間違って入っちゃって……」

間違って入っちゃって?なんで??

「どういう状況?」と聞きただしても、バツが悪そうに口ごもるだけの息子。まあ、怒られると思って、言いたくないのだろうと察した。十中八九、授業中に先生の話をろくに聞かず、所持していたビニール袋を細かくちぎって、何の気なしに耳に入れたのだろう。いや、なんで?

残念ながら男子小学生とはそういう生き物なのだ。なんでこんなに傘が壊れるの?なんで毎日ポケットに大量の砂が入るの?なんで全教科の教科書がちぎれているの?言い出したらキリがない。

私は理由を聞き出すことを諦め、こう伝えた。

「まあ、気持ちは分かるけどな」

「え?分かるの?!」

今の今まで「馬鹿なことをして怒られるのでは」と不安そうな顔をしていた息子が、驚いて目を見開く。10歳男子がついやってしまう馬鹿げた行動の理由が母ちゃんに分かるハズない、そう思ったのだろう。

分からないなりに、息子の気持ちに寄り添って、闇雲に怒るのではなく共感してあげる。私はそんな聖母のような親だから……

では決してなく、残念ながら、本当に気持ちが分かってしまったのだ。

「え、ママも同じこと、やったことあるの?」

半信半疑で尋ねる息子に、私は答える。

「うん、まあ、似たようなことをね」

息子を安心させるために、私はパンドラの箱を開けた。

よしぱん10歳 封印していた記憶

ちょうど私も小5だった。学校から帰ってすぐ「宿題する」と母に伝えて2階の子ども部屋に行き、リカちゃんハウスを広げていた。

リカちゃん人形の小道具を並べて一人遊びを繰り広げていた時、リカちゃんサイズの小さなレモンの玩具が目に止まった。1cmにも満たないそれは鮮やかな黄色で、ツルンとしたフォルムが美しかった。

私はその小さなレモンを手に取り、なんとなく、鼻の穴に入れた。なんで?

いや、マジでなんで??今考えても分からない。摩訶不思議な行動を繰り返す男子小学生ではなく、世間的には大人の階段を上り始めるおマセな高学年女子なのに!

だけど10歳の私は、レモンの玩具を鼻の穴に入れてしまったのだ。

もちろんほんの出来心だったので、すぐに取り出そうとした。

ところが……コロンとしたフォルムのせいで、取り出そうとすればするほど奥に入ってしまう。

必死で指を突っ込む私。どんどん奥地へ逃げるレモン。

もう自分では絶対に取り出せない位置にまで押しやってしまったところで、鏡を見ると、明らかに鼻が変形している。やばい。私は明日からこの顔面で登校しなければいけないのか。

思春期に片足突っ込んだ女子にとってそれはあまりにも残酷だ。私は泣いた。

「おがあさーーーーーん!!」

号泣しながら、階段を駆け下りる。もっと早くに言ってくれれば母も助けようがあるだろうに、どうしようもなくなってから親に泣きつく。子どもとはそういうものなのだ。

ところが、人生最速で階段を駆け下りている最中に奇跡が起きた。

盛大なくしゃみが出て、レモンが「スポーーーーン!」と鼻から飛び出たのだ。

助かった。十年生きた中で最も「神の存在」を体感した瞬間だった。

母親に「どうしたの?」と聞かれても「なんでもない」を繰り返して自室に戻り、「もう二度とこんな馬鹿なことはしません」と神様に誓ったのだった。

息子の笑顔、プライスレス

母ちゃんの赤裸々カミングアウトを聞いて安心した息子にようやく笑顔が戻り、自ら今日の出来事を話してくれた。

先生の話をろくに聞かず、ビニール袋を細かくちぎって、何の気なしに耳に詰めたら取れなくなったらしい。うん、やっぱりね。

予想外だったのは、それが授業開始前の「朝の会」だったこと。息子は朝イチで耳にビニールを詰めて取れなくなり、丸1日「カサカサ…カサカサ…」という音とともに過ごしたのだという。さぞかし不安だったことだろう。

「これからは、そういうことがあったらすぐに保健室に行って取ってもらうんやで。いや、そもそも耳の中に物を入れるのはやめような」

「うん、分かった。取ってくれてありがとう。あと……ママも、もう鼻の中にレモン入れたらあかんで」

分かってるわ!!

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